中国はネットモールが非常に発達しており、アリババグループ傘下のタオバオ(淘宝)、Tmall(天猫)がその代表です。
11月11日にプラットフォーム全体を挙げて行われる大型キャンペーン「ダブル11」(双十一)では、2019年度も記録を塗り替え、24時間で売上2684億元(日本円約4.2兆円)に達したことが世界中でニュースになりました。
ネットショッピングの販促手段として、いま最も勢いがあるのが「生配信」です。タオバオをはじめとするネットモールでは商品宣伝系の生配信が盛んに行われており、専門のアプリもあります。生配信画面から直接購入画面にリンクできるようになっており、衝動買いを含め、購入意欲を刺激する有効なツールです。
今年の「ダブル11」では、2684億元のうち約200億元(約3120億円)を「タオバオ生配信」から売り上げたと発表されています。
「タオバオ生配信」は、商品を売るという明確な目的・指標があるのが特徴で、大量の生配信主がおり、日々苛烈な競争が展開されています。
その中には、脅威的な売上を誇るスター的な配信主もおり、その代表格が現在27歳の李佳琦(リー・ジャーチー)です。
李佳琦は、男性ながら、化粧品、特に口紅販売の生配信主として大成功をおさめています。
李佳琦(リー・ジャーチー)英語名:Austin
1992年生まれ、湖南省出身、南昌大学卒業
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経歴紹介によると、大学卒業後すぐにロレアルのビューティアドバイザー、いわゆる美容部員になったと言われています。
男性が大学卒業後、コスメブランドの美容部員になるというのは意外な経歴ではありますが、中国では男性の美容部員は、それほど珍しい存在ではないと思います。
特に欧米系のブランド、ディオール、シャネルなどは、デパートの売場でも結構男性の美容部員を見かけます。日本よりも中国の方が男性美容部員が普及しているのではと思います。なお、タイのバンコクなどでは美容部員はかなりの割合でLGBTですが、中国の場合は男性美容部員=LGBTの仕事というわけではないです。
生配信で成功を収めた李佳琦は、当然のことながら弁才に優れており、若くてルックスもよいのですが、成功した最大の理由は何といっても、
男性ながら、生配信の中で、次々と自分で口紅を塗って試してみせたことです。
李佳琦が自ら口紅を試用してみせるようになったのは、販売現場に立っていたとき、お客さんがあまり自分で口紅を試したがらないので、販売員である自分が塗ってみせたところ、売上がアップしたのがきっかけとインタビューで語っています。
画像や映像でみると、男性が鮮やかな色の口紅を塗るという映像はインパクトがあります。
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李佳琦お薦めのメジャーブランド口紅50本。李佳琦お薦め絶対買いの口紅50本大集合。
「30秒間に最も多くの口紅を塗った人」として世界記録を持っていると言われるほど、生配信の中では次々と口紅を塗り替えます。
2018年の「ダブル11」では、アリババ創業者である馬雲(ジャック・マー)と共演。口紅の販売でジャック・マーを打ち負かす。
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あるインタビューの中で李佳琦は自身が成功を収めた理由について、以下のように答えています。
・自分はメーカーの美容部員の出身なので、専門的な知識に基づく商品紹介ができること。
・口紅の消費者は女性なので、異性引き寄せ効果が作用すること。
・男が口紅を塗ることは奇抜なことではあるけれど、男である自分が塗ってみてキレイに見える口紅なら、女性が使えばもっとキレイになるはずとアピールができる。
もちろん、人間的に魅力的であることは生配信主の必須条件です。
李佳琦は中性的なルックスではあるものの、ナルシストキャラではなく、客観的な視点で商品紹介をしていると思わせることのできる人です。
商品自体の解説だけではなく、色の違いを具体的に示し、「よほど色白の人しかこの色番の口紅は似合わない」とか、「肌の状態が悪い人がこの色番を使うと悪めだちする」などの具体的なアドバイスをしてくれます。
李佳琦はいわゆる“網紅”(ワンホン)、ネット上で多数のフォロワーを有するインフルエンサーですが、自分一人の力でここまできたのではありません。「美ONE」というファッション・美容系のインフルエンサーの事務所と契約してから、スターに成長しました。
中国インフルエンサー事務所「美ONE」:http://www.meione.me/
まだロレアルのビューティアドバイザー(美容部員)だった頃、ロレアルと「美ONE」との共同プロジェクトで「スタービューティアドバイザーを育成する」という企画があり、そこで抜擢されたのが李佳琦だったと言われています。李佳琦の背後には、宣伝対象である商品のメーカーと交渉する営業担当、売上・アクセスデータを解析する技術担当などがいます。組織的なバックアップがないと、インフルエンサー同士の激しい競争に勝ち抜くことは不可能といえます。
男性による口紅の宣伝は、1990年代後半にキムタクがカネボウTESTIMOの口紅CMに出演したケースがいまでも語り継がれています。
韓国でも、イケメン俳優など韓流スターが女性向け化粧品の宣伝をするケースが多々見られます。
李佳琦の場合は、スターが口紅の宣伝をするのではなく、口紅を宣伝することによって李佳琦がスターになりました。
李佳琦の生配信は驚異的な販売成績を上げています。割引キャンペーンなどの助けもあるものの、8千セットのコスメ商品を1秒で売り切った、3万セットを4分で売り切ったなど、超人的な記録を打ち立てています。アリババ側は「今年のダブル11では、李佳琦は単独で10億元(160億円)を売り上げるだろう」と試算していました。李佳琦の収入は現在1か月で100万元(1600万円)に達すると言われています。
李佳琦は、ネットモール、生配信、インフルエンサー、女性の旺盛な消費力とったキーワードで構成される、現代中国のサクセスストーリーの主人公です。
11月11日にプラットフォーム全体を挙げて行われる大型キャンペーン「ダブル11」(双十一)では、2019年度も記録を塗り替え、24時間で売上2684億元(日本円約4.2兆円)に達したことが世界中でニュースになりました。
ネットショッピングの販促手段として、いま最も勢いがあるのが「生配信」です。タオバオをはじめとするネットモールでは商品宣伝系の生配信が盛んに行われており、専門のアプリもあります。生配信画面から直接購入画面にリンクできるようになっており、衝動買いを含め、購入意欲を刺激する有効なツールです。
今年の「ダブル11」では、2684億元のうち約200億元(約3120億円)を「タオバオ生配信」から売り上げたと発表されています。
「タオバオ生配信」は、商品を売るという明確な目的・指標があるのが特徴で、大量の生配信主がおり、日々苛烈な競争が展開されています。
その中には、脅威的な売上を誇るスター的な配信主もおり、その代表格が現在27歳の李佳琦(リー・ジャーチー)です。
李佳琦は、男性ながら、化粧品、特に口紅販売の生配信主として大成功をおさめています。
李佳琦(リー・ジャーチー)英語名:Austin
1992年生まれ、湖南省出身、南昌大学卒業

経歴紹介によると、大学卒業後すぐにロレアルのビューティアドバイザー、いわゆる美容部員になったと言われています。
男性が大学卒業後、コスメブランドの美容部員になるというのは意外な経歴ではありますが、中国では男性の美容部員は、それほど珍しい存在ではないと思います。
特に欧米系のブランド、ディオール、シャネルなどは、デパートの売場でも結構男性の美容部員を見かけます。日本よりも中国の方が男性美容部員が普及しているのではと思います。なお、タイのバンコクなどでは美容部員はかなりの割合でLGBTですが、中国の場合は男性美容部員=LGBTの仕事というわけではないです。
生配信で成功を収めた李佳琦は、当然のことながら弁才に優れており、若くてルックスもよいのですが、成功した最大の理由は何といっても、
男性ながら、生配信の中で、次々と自分で口紅を塗って試してみせたことです。
李佳琦が自ら口紅を試用してみせるようになったのは、販売現場に立っていたとき、お客さんがあまり自分で口紅を試したがらないので、販売員である自分が塗ってみせたところ、売上がアップしたのがきっかけとインタビューで語っています。
画像や映像でみると、男性が鮮やかな色の口紅を塗るという映像はインパクトがあります。


李佳琦お薦めのメジャーブランド口紅50本。李佳琦お薦め絶対買いの口紅50本大集合。
「30秒間に最も多くの口紅を塗った人」として世界記録を持っていると言われるほど、生配信の中では次々と口紅を塗り替えます。
2018年の「ダブル11」では、アリババ創業者である馬雲(ジャック・マー)と共演。口紅の販売でジャック・マーを打ち負かす。

あるインタビューの中で李佳琦は自身が成功を収めた理由について、以下のように答えています。
・自分はメーカーの美容部員の出身なので、専門的な知識に基づく商品紹介ができること。
・口紅の消費者は女性なので、異性引き寄せ効果が作用すること。
・男が口紅を塗ることは奇抜なことではあるけれど、男である自分が塗ってみてキレイに見える口紅なら、女性が使えばもっとキレイになるはずとアピールができる。
もちろん、人間的に魅力的であることは生配信主の必須条件です。
李佳琦は中性的なルックスではあるものの、ナルシストキャラではなく、客観的な視点で商品紹介をしていると思わせることのできる人です。
商品自体の解説だけではなく、色の違いを具体的に示し、「よほど色白の人しかこの色番の口紅は似合わない」とか、「肌の状態が悪い人がこの色番を使うと悪めだちする」などの具体的なアドバイスをしてくれます。
李佳琦はいわゆる“網紅”(ワンホン)、ネット上で多数のフォロワーを有するインフルエンサーですが、自分一人の力でここまできたのではありません。「美ONE」というファッション・美容系のインフルエンサーの事務所と契約してから、スターに成長しました。
中国インフルエンサー事務所「美ONE」:http://www.meione.me/
まだロレアルのビューティアドバイザー(美容部員)だった頃、ロレアルと「美ONE」との共同プロジェクトで「スタービューティアドバイザーを育成する」という企画があり、そこで抜擢されたのが李佳琦だったと言われています。李佳琦の背後には、宣伝対象である商品のメーカーと交渉する営業担当、売上・アクセスデータを解析する技術担当などがいます。組織的なバックアップがないと、インフルエンサー同士の激しい競争に勝ち抜くことは不可能といえます。
男性による口紅の宣伝は、1990年代後半にキムタクがカネボウTESTIMOの口紅CMに出演したケースがいまでも語り継がれています。
韓国でも、イケメン俳優など韓流スターが女性向け化粧品の宣伝をするケースが多々見られます。
李佳琦の場合は、スターが口紅の宣伝をするのではなく、口紅を宣伝することによって李佳琦がスターになりました。
李佳琦の生配信は驚異的な販売成績を上げています。割引キャンペーンなどの助けもあるものの、8千セットのコスメ商品を1秒で売り切った、3万セットを4分で売り切ったなど、超人的な記録を打ち立てています。アリババ側は「今年のダブル11では、李佳琦は単独で10億元(160億円)を売り上げるだろう」と試算していました。李佳琦の収入は現在1か月で100万元(1600万円)に達すると言われています。
李佳琦は、ネットモール、生配信、インフルエンサー、女性の旺盛な消費力とったキーワードで構成される、現代中国のサクセスストーリーの主人公です。